東京03

月曜日は朝から電話が鳴り続いた。

僕の携帯に電話をしてくる人は限られているし、大体の人がLINE電話を使うので着信画面で誰が電話をしているのか分かるのだが、先日の電話はどれも登録されていない番号で03から始まる番号である。


まず朝8:30に電話がかかってきた。この時期なので、普段であれば取ることもない03から始まる固定電話も3コール以内で取るようにしている。まさか、ここでバイトの経験が活かされるとは。それにしても9時前に電話をしてくるとは驚いた。確かにその企業の始業時刻は8:30であるのだが、その一方で「余程のことが無い限り、電話をするときは9時以降」と周りの大人から言われてきたので、どちらが正しいのかと少し考えてしまった。実はこの企業の面接は少々大変だった。まず持ち物である履歴書を持ってくるのを忘れたのである。これだけでも(僕の中では割と)焦るのに、今まで非常に温和な雰囲気を醸し出していた人事の方が、まるで検察官にでもなったのかと思うような厳しい口調で面接をしたのである。これには面を食らった。ストレス耐性を見ているのかもしれないが、あそこまでやられると内定者が怯えて逃げてしまいそうである。肝心の電話の内容は、一次通過の連絡であった。なお、口調は柔らかいものに戻っていた。

こんな電話を寝起き5秒で対応したので、すっかり頭は覚醒してしまった。暖かいベッドの中でスマホを弄っていたところ、今度は8時59分に着信があった(僕が出た瞬間に9時になったので、始業ピッタリに電話をした事になる)。これも市外局番は03。電話に出ると聞き覚えのない明るい女性の声がスピーカー越しに聞こえてきた。お久しぶりですと挨拶をされて、ようやく昨年夏にお世話になったインターン先であることに気がついた。電話越しに面接日を設定した。ここの面接は驚く事に2時間を超える時間が設けられていた。僕が今まで受けてきた面接や周りの知り合いから聞いた話だと、大抵の面接は20〜30分で終わるものだ。長くても1時間程度なのだが、これの2倍となると一体全体何をさせられるのだろうか。加えて、面接相手は日本人ではないらしい。Give me a break!

 

すると今度は11時くらいに、また知らない03から始まる番号から着信があった。実は、この企業からの電話を朝からずっと待っていた。先週、この企業の選考フローで小論文を与えられたのだが、これが信じられないほど綺麗に書けたのだ。正直、これで落とされたら不満はないと思えるほどだった。全てを終え、人事の方と別れて無人のエレベーターに乗ったところで、WBC優勝時のイチローのように「あざっす」と呟いてしまった。

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ちなみにエレベーター内はノイズキャンセラー(ファジー効果)が作動しているので、どれだけ大声で叫んでも外から聞かれることはない。裏を返せば、閉じ込められても大声出すのは無駄という事だ。緊急ボタンを押してゆっくりと待つしかない。

 

「物事を端的に伝える」技術は訓練すれば直ぐに手に入るものだが、「意味のある文量を膨らます」のは前者よりも難しいと思っている。その点で、小論文の一件もあり、このブログを徒然なるままに書いていてよかったと思った。読者の皆様は、僕のブログの新しい投稿がある度に「なんでいつもこんなに長いのだ」と思うかもしれないが、そう思っているのは僕も同じである。意味なく長くしている訳ではないし、それなりに気をつけて書いているので読んでいて苦痛になる事は無いと思う。2ヶ月ぶりに会ったカウンセラーに、ブログを書いていることを話した上で、一つの投稿の文量が多いことを話したら割と引いていた。

「期末レポートでも書いているの?」

ごもっともである。

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曇った日に高層ビルを見上げると、一瞬世界から色が失われたのではないかと思うことがある。